marihojaでは、毎年いくつかの帽子に
“Vintage”という名前を付けています。
この“Vintage”シリーズは
帽子の材料である「帽体(ぼうたい)」に由来しています。
帽体とは、帽子の原型となる素材のこと。
天然草やフェルト、紙素材など、さまざまな種類があります。
帽体は、すでに帽子の原型のような形に編まれていますが
そこから水分や蒸気をあてて柔らかくし
専用の木型を使って成形することで、はじめて帽子として完成します。
この帽体には、大きく分けて2つの種類があります。
ひとつは、素材やツバの長さなどを設計し
一から編み上げるもの。
もうひとつは、すでに編まれた状態で保管され
長い年月を経た“デッドストック”の帽体です。
marihojaの“Vintage”シリーズは
このデッドストックの帽体を使用して作られています。
なぜ、デッドストックの帽体を使うのか。
理由はいくつかあります。
まず、帽体を一から編むには非常に時間がかかること。
そして、複雑な柄編みは年々作れる職人が減っていて
marihojaで人気の透かし編みなどは、
現在では新たに編むことがほぼ不可能に近くなっています。
さらに、現在の原材料価格や生産ロットの問題から
新しく帽体を作ると、
marihojaの価格帯で届けることが難しくなってしまいます。
けれど、いちばんの理由はシンプルです。
デッドストックの帽体には
思わず手に取りたくなるような
魅力的なものがたくさん残っているから。
使わずにはいられない素材ばかりなのです。
帽体は天然素材でできているため
繊維の長さが不均一で、機械編みができません。
そのため、基本的にはすべて手作業で編まれています。
素材や形状もさまざまで
作りたい帽子に合わせて使い分けていきます。
大きくは、夏用と冬用に分かれ
marihojaでは夏帽体として
ラフィア、ケンマ、マライなどを使用しています。
天然素材の帽体は、保管状態や乾燥によって
割れてしまうこともあります。
その中でmarihojaの“Vintage”シリーズは
長期間保管されていたにもかかわらず
しなやかさを保ち、割れのない状態のものだけを選んでいます。
丁寧に使えば、これから先も長く
何十年と使い続けることができます。
実際に、私自身20年ほど帽子に携わっていますが
当時のデッドストックで作られた帽子は
今も問題なく現役で使われています。
ものづくりは、素材選びから始まります。
まずは「これで帽子を作りたい」と思える
心が動く素材を探すこと。
そして、その素材に無理のないデザインを考えることで
割れや負担を防ぎ、素材の良さを活かします。
素材の長さによっては
ツバの長い帽子が作れないこともあります。
だからこそ、素材に寄り添いながら
かたちを決めていきます。

最終的に、選んだ帽体を木型に入れ
スチームを当てながら丁寧に成形することで
ようやくひとつの帽子が完成します。
木型にも無数の種類があり
同じ中折れのクラウンでも微妙に形が異なります。
その中から、最もmarihojaらしいシルエットになるものを選び
型入れを行っています。
今期も可愛い帽子が揃ってます。
透かし編みならではの影が顔にかかるのも
Vintage帽体の魅力の一つ。

基本的に、木型で成形する際に糊を入れて硬さを調整しているため
水に濡らしたり、折りたたむことはできません。
それでも思わず手に取りたくなる、
装いの主役になる帽子たちです。
